まるたや物語
まるたや洋菓子店の商品に込められた想いやまつわる出来事を物語として皆様にお届けしていきます。
開発依頼はある日突然やってきました。
遠鉄百貨店様が2011年11月に新館をOPENされるというタイミングで、
まるたやで長年ご愛顧頂いているチーズケーキとは全く違う何か新しいチーズケーキは出来ないか?というお誘いでした。
この年は9月にまるたやのホームページリニューアル、11月には遠鉄百貨店内での移転オープン、さらに12月のクリスマスシーズンと大変忙しくなる事が初めから予測されていました。
それでも遠鉄百貨店様からの熱いラブコールになんとか応えようと考えてはみましたが、自分の仕事が山積みの中、体力的、精神的にも果たして開発などできるのだろうかという不安があり、一度はあきらめました。
しかし、職業柄いつも頭の中にはケーキの事がいっぱいで、ある時ふと面白い考えが浮かびました。
チーズケーキがとろ〜りと伸びたらおもしろいなと。
ピザなど熱い状態ではとろ〜んとおいしそうに伸びるチーズ。これをケーキでもできないかな?と…
フォンダンショコラ等のように 電子レンジで温めてチーズを伸ばすのではなく、冷たいままで伸びるチーズケーキ。小さいお子様から大人の方までたくさんの人が喜ぶ姿が目に浮かびました。
それからは、素材の探求です。
自分の無知さ加減から、まずは単純に乳業メーカーさんに伸びるチーズ下さいと簡単にお願いしました。鼻で笑われたり、無理だと言われたり、聞いたことがないとどれも絶望的な答えばかりでした。それでも何人かの方は真剣に何時間も話を聞いて下さり、研究所や、いろいろなところへ相談して頂いたりしました。
自分でも、各材料の展示会や、ありとあらゆる食品 商品を買いあさっては探求しました。既存メーカーのパッケージ写真を見てとろりと中からクリームが出てきている物や、もちもち食感にだまされたり時間はどんどん過ぎていき、そんな中、半年ぐらいたつとあきらめの考えも出てきました。
ある日とある営業さんに『そんなチーズがあるんだったらとっくにピザ会社が出しているよ』衝撃でした、大手のチェーン店 コンビニ 乳業メーカー 研究所 環境が整っているところですら作っていないのに、こんな一個人が絶対に作れるわけがないと…
ここから、長期に渡る、新チーズケーキ開発の苦悩の日々が続くのでありました。
次回、苦悩編へ続く…